位舞志朗の健康談話 病気になっても、病人になってはいけない。

病気。あまり有り難い言葉ではない。だれもがそう思うだろう。しかし、年齢を重ねるに従い、この言葉が身近に迫ってくる。40歳を超える辺りから、がんや糖尿病、高血圧などが気になり始めるだろう。ほとんどの人がそうだ。医者に言わせると、これら病気の根の部分には、これまでの生活習慣や考え方のクセがあると言う。多くの病気はなるべくしてなったのだ。例えば、健康診断で再検査などとなると、落ち込んでしまうどころか、病気に対する恐怖が心を支配するようになってしまう。その気持が病気を呼び込んでしまうのだ。病気のひとつや二つあろうとも、他に幸せなことがあればいいではないか。
病気は人生の罰ゲームではない。卒業式とか結婚式などと同じ、人生のイベントのひとつ程度に考えた方がいい。もっと気軽に考えようではないか。がんにしてもそう。2016年度はがんの新患が100万人を超えるらしいが、ここで最もいけないことは、本人も家族も映画やテレビなどで見たがん患者を演じ出してしまうことだ。仮にがんが見つかっても、がん患者にならないことが大切。病気が見つかっても、病人になってはいけないのだ。
良心的な医者は、患者の健康回復に医者ができることは全体の40%位だと言う。残りの60%は患者自身にかかっているそうだ。どんな名医でも、患者自身に治そうとする意思がなければ、治療は上手くいかないらしい。余命宣告を受けたがんサバイバーの多くは、宣告と同時に新しい人生目標を設定し、その目標に向かって邁進したと言う。そして、その目標が達成された時、がんは姿を消していた。多くのがんサバイバーの生の証言だ。
 病気は気付きの場という。大成した人間の多くは、大病をしたり、事業での失敗を経験している。それは、大病とか失敗が平常時にはわからない何かを教えてくれるからだ。病気は、次の輝かしい人生への充電期なのだ。